半径723mmの鑑賞録
 歴史好きな舞台女優による「古今東西、美しいもの」の鑑賞録です。 最新流行を追わなくても、「いいものは、いい」。 それを、きちんと形に残していければいいな。 ※ネタバレ注意※
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森絵都「カラフル」
2010/04/27(火)
 大罪を犯して死んだ魂のなかから抽選で選ばれ、チビで根暗で不幸な14歳の少年の身体にホームステイすることになった「俺」。この身体で善行を積み、昔の大罪を思い出すことができれば、「俺」は輪廻できると天使に告げられる…。


 YA(ヤングアダルト)図書って、好きなんですよ。
 多くの一般書って、不条理がデフォルトでしょう。その不条理を楽しむのも悪くないけど、「事実は小説より奇なり」と言わんばかりの不条理には、毎日、十分直面していますからね。
 「不条理は乗り越えられる」って力強く言ってくれるYA図書に、むしろ勇気づけられることはあると思うのです。
 
 そこで、YA図書をこよなく愛するマネージャーちゃんに「ブログに感想を書け!」と力強く命じられて読んだのが、本作。
 死の期限を切られた人間の生き様を描く点や、サポートする人間臭い天使の存在が、『死神の精度』を思い出したのですが、この作品もいいですね。

 オチは読めてるんですよ。けれども、そこに持っていくまでの筆力が素晴らしい。
 セリフ回しは軽妙で、でも浮薄すぎず。読者と主人公の共感度が高いので、セオリー通りのストーリーを、毎度驚きをもって体感できます。
 TDRのアトラクションのような、非常に心地よく、リラックスして誰もが楽しめる作品です。
 特に、「俺」が大罪を思い出した時の記述を、愛おしく感じました。まるで極彩色が宝石箱からこぼれるかのような描き方でした。

 クライマックスで(ネタバレ注意)、大罪を思い出した「俺」は、この身体、この家族で生き続けることに抵抗を感じます。「他人だと思っていたから気楽にやってこれたんだ」と。
 そんな「俺」に、天使は「今と同じだ。あと何十年か、ホームステイするつもりでいい」と告げます。
 ホームステイだからこそ自分も周囲も客観視できるし、期限があると思えば能動的になれる。
 喜びも哀しみも、人生は重く受け止めすぎなくてもいいんだ。そんな、素敵な生き方の提案だと思いました。


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宮永孝『万延元年の遣米使節団』
2010/04/06(火)
 2005年、講談社学術文庫。
 1860年(万延元年)に、日米修好通商条約の批准書交換のため、ポーハタン号にて世界一周でアメリカを目指した、江戸幕府の正使たちの足取りを辿る。

 幕末にアメリカに行ったというと、すぐに思い浮かぶのが、勝海舟と咸臨丸。
 しかしながら、幕府の正使を乗せたのはこちらのポーハタン号であり、咸臨丸はその護衛艦なのです。

 咸臨丸の方が有名なのはなぜでしょう。
 咸臨丸が、幕府の最初の軍艦であったこと。建前上は日本人水夫による航海であり、ナショナリズムを喚起させられること。勝海舟や福沢諭吉など、後の日本を担う人材を多く輩出したこと。

 それに対し、ポーハタン号はアメリカ海軍による航海です。批准書を携えた幕府の正使一行を送迎するのですから、安全面を考慮すると当然の差配でしょう。
 また、咸臨丸の乗組員と異なり、正使一行には幕府の吏員として忠誠心の高さが求められたことでしょう。
 したがって、帰国後、明治政府に乗り換えられず、江戸幕府に殉じて無名のままに終わった者も多いようです。聡明で名高い目付(副使)・小栗上野介も、大政奉還後に明治政府に斬首させられています。
 ポーハタン号の遣米使節は、江戸幕府を否定し、近代国家の早期確立を望む明治政府によって、光を当てられなかった歴史の一隅と言えるのかもしれません。

 それでも、正式な日本の使者たちが、アメリカから最高級のもてなしをうけた実態がよく窺えます。各地で必ず祝砲で迎えられ、いずれも首長による正式な宴会でもてなされます。幕末に各国に派遣された記録と比べても、どの使節よりも丁重であったと理解できます。
 また、当時は、アメリカ全土でジャポニズムが一世を風靡しました。年少の侍が「トミー」と呼ばれてアイドル化し、各地で黄色い声援を受ける様など、意外すぎるエピソードの数々にも微笑ましいものがあります。
 帰国した一行に対する日本の冷遇を目の当たりにして、祖国ながら非文明国家を実感せざるを得なかったのではないかと推察します。


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中国の政治外交の転換点
2010/03/31(水)
 新進気鋭の(美人)中国政治研究家の新作をご紹介します。
 東京大学出版会から出版されたばかりです。

 益尾知佐子『中国政治外交の転換点~改革開放と「独立自主の対外政策」』
 共産党政権下の中国は,いかにして初期のイデオロギー性を脱し,世界的な大国として台頭するにいたったのか.小平の主導による改革開放を軸とした1970年代末からの内政・外交にわたる一大転換の過程を分析し,今日の中国政治外交の源流を明らかにする。


中国政治外交の転換点―改革開放と「独立自主の対外政策」中国政治外交の転換点―改革開放と「独立自主の対外政策」
(2010/03)
益尾 知佐子

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 さて、著者である彼女とは非常に近しい仲でありまして。
 恥ずかしながら、私も一瞬は研究者を目指した身ですが、彼女を間近に見ていると「自分はこんなに学問に打ち込めない」と己の分を知って、早々に方向転換を図ったという過去があります。

 学生時代から日本学術振興会研究員等を歴任している彼女の執筆数は既に相当数にのぼりますが、今回は彼女の博士論文を中心にまとめたものです。
 博論だからと軽んじるなかれ。むしろ、出版できる博論を書く実力を買っていただきたい。

 できたてほやほやのため、実は私も現物未入手なのですが・・・。

主要目次
序 章 中国の改革開放と世界
第1章 中国外交における毛沢東と小平の共鳴――1974年~1975年、「一本の線」戦略の提唱と推進をめぐって
第2章 小平の対外開放構想と国際関係――1978年、中越戦争への道のり
第3章 毛沢東外交の再検討――1979年~1981年、中ソ対立の過去と現在
第4章 「独立自主の対外政策」の公式提起――1981年~1982年、対米戦略協力からの脱却
終 章 中国外交における「独立自主の対外政策」


 目次をながめる限り、シングルネームでの最初の本として、内容をメジャーどころにしぼってきたなという印象。
 しかも、時系列でわかりやすく、読みやすそう。
 戦略ですね。学術書も、手にとってもらえてなんぼです。彼女は研究者の才能以外にも、経営者としての鼻も効きますから。

 守備範囲は東アジアの政治外交全般ですので、メジャーどころで名を上げ、凱旋後の第2弾、第3弾…を確信しています。(そんな楽なもんじゃねえ。)
 そして、おっつけ私が読んで、理解できるものでありますように。
 「努力する天才」彼女の前では劣等感の塊ですよ。昔も、今もね。


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海堂尊『ナイチンゲールの沈黙』
2009/03/20(金)
 東城大学病院で癌で両目摘出を待つ少年の父が、バラバラ殺人の被害者となる。
 少年と、担当看護師で超絶美声の・小夜の共犯が疑われ、その真相を突き止めるため、愚痴外来の田口医師と、火喰い鳥・白鳥技官が、今回も面談を始める…。


 前作に比べての評価が分かれる作品、だそうです。
御多分にもれず、私も、前作よりもファンタジックな要素が気にかかり、結末もこじつけのように思えてしょうがなかったです。
 前作の徹底した医療ミステリーを期待すると、損してしまう作品かもしれませんね。
SFだと割り切れば、ストーリーに身をゆだねて楽しむことも可能になりました。

登場人物も多く、エピソードも盛り沢山。
 ストーリーの核となる事件の発生までの、前フリが相当に長い。
 同じくキーパーソンの登場が、下巻になってから…。
 前半の冗長感に、私ならずとも、途中で何度か挫折した人も多いのでは?

シリーズ化を目的にした伏線の数々も、他の作品を読まないかぎりは消化不良で終わるので、小説に一期一会を求めたい私としては、悪目立ちにも見えました。
ファンのひとには、うれしい一冊というところでしょうか。


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ハンナのかばん
2008/02/15(金)
 公演記録を書くつもりが、原稿が仕上がらなかったので、本のレビューを。
 2月14日はマネージャーのゆりさんの誕生日なので、彼女に紹介された本。


 アウシュビッツで虐殺されたユダヤ人と言えば最も有名なのがアンネ・フランクですが、この物語は同じく少女で、しかもアウシュビッツに到着直後にガス室送りになった少女の話です。
 アンネ・フランクが終戦直前のアウシュビッツで数ヶ月生き延びたのを知っていたぶん、いくぶん戦況ゆるやかな時季にも関わらず、あっけなくガス室に消された命を見ると、ホロコーストの恐ろしさをいっそう実感します。

 アンネ・フランクが15歳で収容所入りだったのに対し、ハンナは13歳
 アウシュビッツでは幼少の子どもは即刻ガス室送りと決まっていました。運命の分かれ目も厳しいものです。移送元の収容所でハンナは「子ども」区分されていましたので、その時点ですでに運命が決まっていたのかもしれませんが。


 興味深いのが、主人公ハンナが意外にも日本とつながるドキュメンタリー。
 読むと、日本が舞台になっているぶん、どのホロコーストの話より身近に感じます。

 ストーリーは2層仕立てになっていて、
①1930~40年代のチェコスロバキア。ハンナの生い立ちからアウシュビッツでの死まで。
②現代の日本。アウシュビッツから届いた遺品のかばんの持ち主を探し出す旅。
 この2本の物語が、最後に感動的な出会いとして集結します。
 
 先は読めるんだけど、事実は小説より奇なり。
 ノンフィクションで、このラスト。実に良かった。

 平和がだいじ。命が大事。
 素直にそう思える本です。


 ☆来日したハンナの兄ジョージの言葉が胸につまります。
   NPO法人ホロコースト教育資料センター HP
   http://www.ne.jp/asahi/holocaust/tokyo/new_page_10.htm


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