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2008-01-05 Sat 08:56
浅田次郎作。男性の視点から新撰組を描いた『壬生義士伝』の姉妹版。女性の視点から新撰組を描く。
京都島原の老舗置屋・輪違屋の天神 糸里と、新撰組副長 土方歳三はにくからず想いあう中であった。新撰組を組織として物心ともに強固にするため、新撰組局長 芹沢鴨を排除することを決意した土方。しかし男たちは「農民が武士を殺す」ことへの異常な恐怖を感じていた。 その土方を憎みつつも愛する糸里や、新撰組をとりまく女たちの、「運命の生き方を選択する」強さをうきぼりにする作品。 先にこの作品を読破した男性2人が「土方は最低だ!」と声をそろえていいます。 なにが最低なのだろうと思いつつ読み進むと、どうやら同じ場面で憤慨したらしい。両思いの糸里を、土方が芹沢の部下と結婚させるというエピソードに、「男のハート」をくすぐられたゆえの義憤のようです。 男っておもしろいよね。女は自分で納得してその道を選んだのだから、どんな結果でもしょうがないのです。なのに、男は女を無理強いしたことに怒りたいみたいです。男の責任感はうれしいけど、女は殿方が期待するほど男に依存していませんので、そんなに憤られても・・・とおかしくなってしまいます。 ま、そもそも、浅田次郎というひとが、よく言えば「男の道の求道者」、悪く言えば「勘ちがい男」なのですよね。 たくさんの種類の男のキャラクターを書き分けられるし、泣かしてくれるのに、女のキャラクターは「見た目は聖女、でもほんとは情のかたまりなの。」みたいなワンパターンで、いつも笑ってしまうのです。 (誤解のないように追記すると、浅田次郎はマイフェイバリット作家です。浅田LOVEです。) だから、男の視点で描いた『壬生義士伝』は名作ですが、同じ局面を女の視点で描いた本作がやや落ちるのも、登場する女性たちの内面に踏み込みが甘いからと言えるでしょう。 しかしながら、有名なのに小説で語られることの少なかった、新撰組屯所である壬生の前川家・八木家のお内儀さんたちに照明をあてたところは斬新で、興味深いものがありました。芹澤鴨の愛人・お梅を女事業家として描写するのもおもしろい。 主役の糸里ちゃんやその他の天神さんたちは華麗ですが、彼女たちは理想像の女性。 それよりも脇役のしたたかな女性たちのほうが、女としては好ましいと感じるし、浅田作品のやくざな魅力がきらめく部分ではないかと思うのです。 それから、主題の「農民が武士を殺す」については、・・・なんだかな〜。階級闘争を思わせるのです。 階級闘争を論じるのも無意味ではないし、浅田次郎と同世代には共感してもらえるかもしれませんが、少なくとも現代的な主題ではないよね。 芹澤暗殺の動機として新しい視点と評価できますが、「それをもって小さな組織がトップを殺めるか」と問われると、あまりにも現実感がなさすぎです。たとえ百家争鳴の幕末であろうとも。 ということで、「農民が武士を殺す」をみんなが語りだす小説の後半は、ちょっと意欲減退でした。 最後に、たくさんの登場人物がそれぞれの立場から事件を語っていく手法は『壬生義士伝』『輪違屋糸里』ともに同じです。 が、書き込みは『輪違屋』のほうが一貫していません。登場人物目線なのか、第三者目線なのか、読書中に読者が混乱してしまうのが多少難点です。 セットで読むとおもしろい両作ですが、どちらかしか読む気になれない方は、ぜひ『壬生義士伝』を。映画がまた、中井貴一がいーんですよ。これが。 ご協力お願いします♪ ↓↓↓ 1日1回クリック。ブログランキング ![]() ストーリーを読みたい方は(ネタバレ注意)→→→→
【輪違屋糸里 あらすじ】
島原の置屋・輪違屋の天神、糸里。姉とも慕う音羽大夫が新選組筆頭局長、芹沢鴨に無礼打ちされた。 新撰組の狼藉に怒りと恨みを抱くも、「御恩だけを胸に刻め。」との音羽太夫の遺言に沿って生きていこうと決意する糸里。 そのころ、新撰組は、壬生の前川邸・八木邸などを屯所として居候を決め込んでいた。突然押しかけられた壬生の郷士たちは大困惑。前川の内儀おかつと、八木の内儀おまさは、互いに新撰組を見張っては、情報交換を行っていた。 ふたりの見た新撰組は、ちまたで悪評高い新撰組とは異なっていた。気さくで意外に律儀、小市民。「侍」という感じがせず、時に「農民」に思えるときもある。そうと思えば、時に豹変し、悪逆極まりない姿を見せることもある。 特に、芹沢鴨は新撰組のなかでの評価もさまざまだった。押し借りをはたらくは、音羽太夫をはじめ乱暴狼藉、悪名とどろく芹沢だったが、実はもっとも心根がやさしく、もっとも武士とはかけ離れた生き方をしていた。 しかし、農民根性のかたまりのような新撰組は、武士としての芹沢の存在を疎ましく感じていた。また、政争の裏を知る芹沢の排除を松平容保に要求され、彼を淘汰する動きへと流れていくのだった。 その首魁が、農民出身で切れ者の土方歳三であった。農民出身ばかりの試衛館派が新撰組の主導権を握るよう画策に奔走していた。 糸里は、土方と互いに思いあうも、彼の思いを汲んで、芹沢派の平間重助と夫婦になる。芹沢の懐柔と暗殺をたくらむ土方の計画は動き出した。 一方、老舗菱屋の主人の妾・お梅は、江戸生まれの莫連女ながら、惚れた菱屋の主人のために、菱屋の掛取りに奔走していた。 そんな経緯で、好かぬ芹沢に抱かれるのも甘んじていたが、ある日、菱屋の裏切りを知ってしまう。必死に菱屋を立て直したお梅の激怒はとどまらず、菱屋と元女房を刺し殺してしまう。自暴自棄になったお梅は、芹沢のもとに行き、生をあきらめたかのような芹沢に身を任せる。 その晩、新撰組の試衛館一派は芹沢一派とお梅を暗殺する。 はかりごとを土方に聞いていた糸里は、平間と天神仲間の吉栄を世闇にまぎれて逃すのだった。 芹沢暗殺の労をねぎらうため、新撰組・試衛館一派と糸里は、松平容保に招聘される。 土方と夫婦にさせるという松平容保に、糸里はうたを献上する。「結婚をのぞまず、太夫に出世したい」との意をくみ、松平容保は、糸里を桜木太夫として叙する旨を約束する。 新撰組とたもとを分かつ糸里を追い、土方は「本当は農民に戻りたい」と糸里に翻意をうながす。しかし糸里は、「ひとには分というものがあり、その運命にしたがって生きるべきだ」と突き放す。土方は、幕末の表舞台を生きると誓うのだった。 |
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no.63:はじめまして〜
こんな本があったのですか!
面白そうですねー 興味をそそられます。 それにしてものんゆりさんの分析力は見事ですー 殿方が期待するほど男に依存していない。 まったくその通りですね・・・ というか、女あっての男だなあと最近よく思います。 面白かったのでコメさせていただいちゃいました(o・v・o)〃 TBもさせてくださいー! 突然お邪魔しました* no.67:>おうみさま
お立ち寄りいただいてありがとうございます。
男性と女性では視点は違いますものね。 そこをよく利用する作家ですね、浅田次郎は。 確信犯かな。
2008-01-28 Mon 08:53 | URL | のんゆり #-[ 内容変更] |
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