半径723mmの鑑賞録
 歴史好きな舞台女優による「古今東西、美しいもの」の鑑賞録です。 最新流行を追わなくても、「いいものは、いい」。 それを、きちんと形に残していければいいな。 ※ネタバレ注意※
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マドレーヌ成仏計画~其の弐
2008/02/20(水)

 引き続き、劇団オグオブ第13回公演『野獣グレゴワールの虜囚』のブス妹・マドレーヌが無事成仏できますよう、マドレーヌができるまでを回顧してみたいと思います。


 ストレートプレイとネタの両立。「笑って、泣かせる」路線を目指すオグオブの課題です。
 これを得意とする役者と、苦手な役者がいます。
 その要因は演技のつくりかたの違いではないか。と、最近、思うようになりました。

 わたしは脚本の初読のおり、頭の中で1本の映画もしくはマンガを完成してしまいます。あとは生身の身体で、その登場人物の感情や言動を再現するだけ。
 「その演技、違うよ」と指導されたときには、頭の映画を修正して、またそれを忠実に再現すればいいので、演技で悩むということが根本的にありません。
 演繹法なのです。アリストテレス的でしょ。
 だから、「役の感情がわからなくて、演技ができない」と悩む「まず心ありき」の帰納法的役者さんを見ると、「かっちょえー。役者っぽい~。」と、あこがれます。
 一方で、キャラクターの可能性から目をそむけてしまう「砂山のパラドックス」のケースも多そうですね。

 こんな川原泉のような前ふりじゃわからない?
 要は、「私の役ではネタをやりにくい(帰納法)」と自分を縛るよりも、「ネタもやるなら、こんな役柄につくろう(演繹法)」という姿勢で臨むほうが、ネタの上達は早そうだ。
 と、まわりの役者さんを見て思うことが多いのです。


 ※ちなみに、「ネタ」「役柄の妙によるおかしみ」は異なると思っています。
  「ネタ」はテクニック、ときに感情不要。「役柄の妙」は心技体そなえた究極のストレートプレイ。
  後者は上級者向け。まずは「ネタ」を修行しましょう。(と、オグオブ初代座長も言ってました。)
  それを避け、一足飛びに「役柄の妙」をめざすのは、スラムダンクを読まずにリアルを読んじゃうようなもの。でなきゃ、失明せずに蘆山昇龍覇を打つようなものかと。


 さて、前回公演『針子のトラ!!』では、掛け合いや間で笑わせる集団・コンビ芸が多く、それが単調だと指摘されたものですから、演出家の今回の狙いは「キャラクターで笑いをとる」
 満を持して上梓された『野獣グレゴワールの虜囚』は、「史上最高コメディ」と銘打つだけある、すべての役柄にネタを期待された脚本となっていました。
 特に、ミルとマドレーヌとグレゴワールにはオトシドコロ満載、2分に1回笑わせる筋書き。
 が、その意図を汲んで演技プランを立て、なおかつ笑いを演じられるかどうかで言えば、全体的に「演繹法的役者、強し。」という結果だったなと回顧しますし、笑いのタスクをクリアできなかった役者のぶんが、笑いに強い役者への無茶振りとしてしわ寄せたのは否めないと感じてしまいます。
 笑いレベルの役者間での偏りが、芝居全体のコメディ性を色褪せさせた最大の要因かもしれません。
 「コメディじゃなかった。看板に偽りあり。」とがっかりして帰ったお客様のためにも、キャストひとりひとりが、役づくりを工夫し次回作に備えれば、今回の苦い思いも有意義に変わるのではないでしょうか。


 ・・・というゴタクはウザいよねえ。
 さっさとネタの紹介を。
 脚本にない無茶振りネタ、だけどもお客さんから好評だったネタをご紹介します。


①「場面転換、中庭」
 文字情報だけだと、なにが面白いのやら、サッパリでしょ?
 そう、サッパリだったのです。演出家が要求したことは。
くるっとまわって『場面転換』と言ってくれ。場面転換だってわかりやすいように。」
 まさにボーク。

 演出家の言うまま演じれば、お客様のドン引き必至。
 その恐怖心から設計したのが、【ストレートプレイ → 「場面転換、中庭。」(声ネタ) → 「おーい」(動きネタ) → ストレートプレイ 】
 声と動きの連続4段切り替えならば、「おーっ!やるなあ。」路線で、なんとかイケるんじゃないかと。それが結果として、「わはは」になったのは、うれしい誤算ですね。

 折しも、最後の稽古日のこと。目指すは、プロ野球選手の投球(時の脚の)フォーム。
 ときに歩行不能になるくらい、実は脚が弱いので、軸の右足はサポーターだらけだったりします。
 腿の筋肉の痛さに耐えつつ、高くあがれと願いながら、ひたすら脚をまわす私の姿がありました。


②「たわば! あべし! うわらば!」
 「ひでぶ」を除くのが、美学です。
 原作オンリーの「うわらば」を加えるのが、こだわりです。
 なにがなにやら?という賢明な姫君にお伝えしますと、これ、すべて『北斗の拳』の断末魔の叫びでございます。
 

 ブス妹が、初めて恋を知る感動的なシーン。・・・に、あえてネタを入れたら、おもろいやん
 入浴中に思いつきました。
 お風呂で名案が浮かぶのは、アルキメデスの時代から変わりません。


《脚本》 「なんだろう、この気持ち。私、いったいどうしちゃったんだろう?(退場)」

⇒ 《断末魔プラス》
  
たわばっ! なんだろう、この気持ち。
   あべしっ! 私、いったいどうしちゃったんだろう?(去る途中で) う・わ・ら・ば!!(退場)」

 断末魔とセリフをコロコロと切り替える稽古に、多くの時間を割きました。
 劇団員の冷たい視線に耐えつつ、断末魔を執行していくのは、稽古中、本当に辛かった。
 それに耐えしのび、この美学に共鳴してくれるお客様と劇場でお会いできたこと、感涙にたえません。
 そして、断末魔セレクトにご協力いただいた同僚のSさん。「ひでぶ」に逃げようかと気弱になった私を、真剣に励ましてくれた悪魔役の蒲生さん。
 このネタの成功をみなさまに捧げます。
 ありがとう。ありがとう。 


 最後に・・・・
 アンケート&レビューに「ブス妹のハッピーエンド希望!」と書いてくださったみなさま、ありがとうございました。
 あの形がマドレーヌの幸せだった、というラストを描ききれなかったのは、演者である私の力不足ゆえ。
 だけど、みなさまのシンパシーは、とてもとても光栄です。
 孤独だったマドレーヌも、無事、成仏してくれそうです。



    最後まで読んでくださって感謝!
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        たまたま撮れた、演出家と仲がいいマドレーヌの写真。演出家の顔バレ禁止以外、無修正。
           こんな表情ができるなんて、わたしってとってもすばらしい女優じゃない?

       演出家とわたし。
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07:16 | 役者業| トラックバック:0 | コメント:4


コメント
>「私の役ではネタをやりにくい(帰納法)」

以前うちに客演した役者さんに演出が演技をつけたとき、その人が「(私の)この役はこんなことしない」と言い、演出が「この役は俺が書いたんだ!俺以上にアイツになにが分かる」とキレていたことを思い出しましたw
まあ、私も数年前くらいまで帰納法だったと思うので、何を言う資格もないけど・・・

つか、ナノではあんまりネタはやらせてもらえないしw
    2008/02/20(水) 13:18:14 | URL | もりちえ #-[ 編集]
 その方面の知識も無いのに、先日はわかったようなことをごめんなさい。
 その場でも出た話ですが、「ブス妹のハッピーエンド」がかくも望まれるのは、なにより、のんゆりさんが演じるマドレーヌが魅力的だったからでしょう。力不足なんて、そんな。
 「ばめーん、てーんかーん」は大受けしました。そうくるか、と。
 次回も楽しみです(^^
    2008/02/21(木) 00:33:54 | URL | kei-zu #j4ekpsMA[ 編集]
>もりちえさん
恐いね、おたくの演出。
わたしみたいな従順性に欠ける役者は、とてもじゃないけどそちらには行けなさそうだ。

そうだね、演繹法って結局、脚本家・演出家の視点に近いものがあるんだと思う。
役者から見た俯瞰図だから、必ずしも脚本家・演出家とは合致しないのがミソだけどねー。

だから、私はいつも演出家から野放しにされるのかもね。
    2008/02/29(金) 06:20:13 | URL | のんゆり #-[ 編集]
>kei-zu様
とんでもない。
いつも、誰よりも深くテーマを掘り下げてくださるので、こちらのほうが恐縮ですよ。
時に、「わたし、そんなこと考えたこたねーや。」ってとこ突いてきますからね。
油断できないなー、もう。

場面転換は、ほんとにもー、大絶賛されておりますです。
女芸人を目指して独立しようかな。
    2008/02/29(金) 06:23:26 | URL | のんゆり #-[ 編集]

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