歴史好きな舞台女優による「古今東西、美しいもの」の鑑賞録です。 最新流行を追わなくても、「いいものは、いい」。 それを、きちんと形に残していければいいな。 ※ネタバレ注意※
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蟲師
2008-03-09 Sun 09:36
 公式HP>>> http://www.mushishi-movie.jp/

 2007年日本。監督:大友克洋 出演:オダギリジョー、江角マキコ
 超常現象を「蟲」と呼ぶパラレルワールド。蟲師ギンコが旅をつづけながら、蟲に悩む人々の謎を解き明かす。
 そして、ギンコ自身のなかの蟲(常闇・銀蟲)と、失った過去の記憶と対峙する時がやってくる。
 
 
 結末に行けば行くほど、ストーリーがわからなくなる作品。
 「蟲」の概念は理解した・・・気がする。「常闇(とこやみ)」「銀蟲(ぎんこ)」も、なんとかついていった・・・と思う。「光脈筋」「光酒(こうき)」あたりになると、飽和状態。
 結末に至っては、私の理解力の範疇を超えておりまする。(だから、今回はあらすじも書けませぬ。)
 「どういう意味?」と、誰かに聞きたい。うおー。
 原作ファンには「まだまだ足りない!」なのかもしれませんが、1巻目で原作を挫折した私には詰め込みすぎ感すら残ってしまうのでした。


 だけど、ここまで難解なストーリーを、最後まで惹きつけて見せる演出には感服。

 とにかく、絵がきれい。
 構図、最高!
 色づかいがきれいな作品はわりとあるけど、細部まで構図を練り上げた美しい作品はなかなか見られない。
 つまりは、大友作品らしい構図ってことなのですけどね。アニメで見るより、映像のほうが活きているのでは。
 そこに、淡い色彩と、場所により照度を変えたライティングがはまって、非常に印象的な映像美が終始繰り広げられます。


 それから、役者の個性をうまく活かしていました。
 登場人物が多いので、キャラクターがかぶるのは避けたい。
 キャラの配置を徹底し、一貫した個性を演じさせて逸脱を許さず、作品全体の統一感をもたせていました。
 逆に言えば、役者の自由度が少ない作品でもあったわけですが・・・、冷たいキャラはずっと冷たく、熱いキャラはずっと熱い。客の見やすさはぐっと増します。

 その点で、機械のような冷たさを貫き通した江角マキコは、作品を生かした最大の功労者。
 これだけ出番があって、つっこみどころ満載だと、役者ならオリジナリティを欲張りたくなるものですけどね。
 ぐっとこらえて、要求されたキャラクターを忠実に演じ抜きました。
 江角マキコではなく、女蟲師・ぬい。彼女にいざなわれて、映画にのめりこみます。

 一方で、限定された役どころにも関わらず、演技力で役の深みを創り出したのが、李麗仙
 第一声を発しただけで、キャラクターの位置づけや性格を、観客に植えつけます。もはや神業。
 この技を盗みたいなあと、役者として憧れる役者さんです。  
  

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