半径723mmの鑑賞録
 歴史好きな舞台女優による「古今東西、美しいもの」の鑑賞録です。 最新流行を追わなくても、「いいものは、いい」。 それを、きちんと形に残していければいいな。 ※ネタバレ注意※
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太陽(映画)
2008/03/29(土)

 2005年ロシア。監督:アレクサンドル?ソクーロフ、出演:イッセー尾形、佐野史郎、桃井かおり
 昭和天皇(裕仁)の終戦直前の生活を追う。
 すべての屈辱を呑み込み、敗戦を受け入れ、現人神から人間宣言に至った心境に迫る。
 


 今年(といっても、まだ3月。)観た映画の中では、一番おもしろい作品です。

 前評判どおり、イッセー尾形の昭和天皇は似ています。
 口をむやみにモゴモゴさせたり、「あ、そ。」とつぶやいたり、若いころからそんな癖があったかどうかは知りませんが、日本人の記憶に残っている姿です。

 似ているのは、イッセー尾形だけではなく、桃井かおりの香醇皇后も。
 私の記憶にある、よちよち歩く仲睦まじい老夫婦の姿を、そのまま2人の名優が映していきます。

 特に、疎開から戻った皇后との会話から抱き合うまでのシーンの、相槌を打ちあうだけの演技
 フィクションですが、たしかにあの夫婦ならこういう再会だったにちがいないと納得させられるのです。

 小手先の技術だけでない演技が、さらにシニカルな笑いを誘います。
 長回しのカメラを前に、イッセー尾形の一人芝居の技術炸裂。
 淡々と数珠つなぎで語っていたと思いきや、曲が転調したかのように、突然、口角泡を飛ばす。
 断片的なエピソードでしか知ることができなかった、ベールに隠された昭和天皇の人となりを、想像力をもって浮かび上がらせます。

 その名演技で彩ってきたイッセー尾形の長丁場の努力を、一瞬にして掻っ攫う、桃井かおりがまたすごい。
 特に、昭和天皇を横目でにらむ演技
 ただ黒眼をめぐらすだけの演技ですが、度肝を抜かれること間違いなし。
 (彼女の白眼に巧みなライティングをほどこし、長回しで撮影した監督もまた、輪をかけてすごい。) 


 さて、この昭和天皇夫妻のシーンに関して、監督は歴史的事実を曲げています。
 シーンは昭和20年8月15日の直前。しかしながら、香醇皇后が疎開先から戻ってきたのは、史実では戦後なのです。
 歴史研究家でもあり、この映画で宮城の防空壕を緻密に再現してみせたソクーロフ監督が、それを知らないはずはありません。

 だからこの映画は、人間宣言の発令前に、香醇皇后を戻らせる十分な意味があったと考えるのが自然であり、それが、上記の桃井かおりの「横目でにらむ」シーンなのです。
 監督がもっとも表現したかったテーマが、そこに秘められているのだと感じます。


 内閣とGHQを飄々とかわし、深遠なる思慮深さで、戦争終結を宣言する昭和天皇。
 国民を愛し、敗北の屈辱を受け入れる、孤独な帝王の姿を映し出します。
 「俺は生身の人間だ」という心の叫びを理解してくれているのは、妻だけだ。
 しかし、誰よりも夫を「神だ」と信じ込んでいたのは、妻だった。
 
 歴史の裏側よりも皮肉な、心のすれちがい。
 監督が描きたかったのは、その部分であると思います。


 なお、映画の舞台ともなった、あまり知名度は高くない宮城(皇居)の地下の防空壕に関しては、こちら。
 ソクーロフ監督が参考にしたかもしれない?
 藤井戦国史>>>http://www.sengokushi.com/column/i00604.html


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太陽
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【太陽 ストーリー】

 広島に原爆が落とされたのち、昭和天皇は宮城の地下防空壕で生活していた。
 御前会議では、一億総玉砕の地上戦を唱える者に対し、平和を民に与えることが最善であると述べる。

 なかば強引に、マッカーサー元帥を訪問させられる昭和天皇。
 マッカーサーは、身を賭して屈辱的な決断をした、帝王の配慮を垣間見る。

 その夜、ポツダム宣言を受託する意思を固めた昭和天皇は、ふたたびマッカーサーと相まみえる。
 マッカーサーは、戦争責任を呑み込んだ昭和天皇の覚悟を知り、「生身の人間に戻れる」と喜ぶ人間らしい昭和天皇の姿に親しみを覚えた。

 終戦と人間宣言に無上の喜びを感じる昭和天皇。
 ただちに、唯一信頼する皇后と皇太子を、疎開先から呼び戻す。

 帰京した皇后に甘える天皇。
 「人間に戻れる」と喜ぶ天皇を、皇后はまじめに取り合わない。「あなたが現人神なのは当然よ。」とやさしくあやす。

 皇太子の待つ広間に向かう際、侍従長を呼び、改めて天皇は「録音済みの『人間宣言』を用意せよ。」と命じる。
 天皇が本気だと悟った皇后は、彼に憎悪を感じ、荒々しくその場を発つのだった。  
 
  
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