半径723mmの鑑賞録
 歴史好きな舞台女優による「古今東西、美しいもの」の鑑賞録です。 最新流行を追わなくても、「いいものは、いい」。 それを、きちんと形に残していければいいな。 ※ネタバレ注意※
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WALL・E/ウォーリー
2009/02/14(土)
 2008年アメリカ。ディズニー&ピクサー。
 29世紀の荒れ果てた地球で、宇宙へ脱出した人間たちに置き去りにされて700年、黙々と働き続けるゴミ処理ロボット、ウォーリー。人恋しさを募らせていたある日、真っ白に輝くロボット、イヴが現れ、ウォーリーはたちまち恋に落ちる。ところが、巨大な宇宙船がイヴを連れ去ってしまい…。



 2月14日は、かわいいマネージャー・ゆりさんの誕生日。彼女イチオシの『WALL・E/ウォーリー』をお送りします。

 前半×で、後半は怒涛の逆転を見せる作品。
 なぜ、前半が×なのかというと、ここは好みの問題になるかもしれませんが、私はやはり「人間の目が見たい」のです。
 主役のウォーリーも、新型ロボットのイヴも、さすがにピクサー、ロボットとはいえ目の表情も豊かなのですが、限界を感じずにはいられません。CGアニメでも、役者が人間かロボットかは、感情移入するには随分な違いだなと実感しました。
 序盤からのシンプルなストーリーに先が読めてしまう気持ちになる中盤、ロボットの友達がたくさんできるくだりになると、このままロボット恋愛&友情ストーリーに終始しちゃうのかと落胆して、ちょっとウトウト。


 が、人間様が活躍し始める後半になると、物語は俄然、おもしろい展開になっていきます。
 いいよ! やっぱ、人間様が一番だよ! じゃないと感情移入できないもん!

 と、極論はさておき、ここからは完全なネタバレなのですが、「宇宙へ脱出して700年」という舞台設定から来る、人間様の描写がすさまじいのです。どんなSF映画でも、ここまで描いたものはないのではないでしょうか。
 宇宙船の閉鎖された空間のなかで、ロボットに寄生して生きているので、男も女も、大人も子どもも、身体は色白のぶよぶよ。
 個人モニターが常に眼前にあり、それ以外に視線を移した事もなく、当然、人とコミュニケーションもとることはない。
 歩いたこともないので、下半身に筋肉はなく、たとえ革命で危機が迫っても、よちよち歩きもままならない。
 こんなに末期的な人間様の描写を、明るい色調でコミカルに描くCGアニメって恐いですね。普通に生きていたら、きっとこんなふうになっちゃうという警鐘なのでしょうね。

 この生きている実感、人生への意欲が欠けた人間様が、ロボット達に寄生しているつもりが寄生されていたことに気付き、主体性を取り戻す描写が、映画の後半に盛り込まれます。
 そのリーダー格に成長するのが、宇宙船のキャプテン。堕落した未来人の典型だった彼が、人間として、リーダーとしてなすべきことを自覚して、よちよち歩きで人々を導いていく展開になるまでが、とてもおもしろいのです。
 それにしても、アメリカ人って、インディペンデンス・デイには、なぜリーダーを欲しがるんでしょうね?
 意外と「導かれたい国民性」なのかなと思います。私が今まで会ったなかでは、日本人が一番「導かれたくない国民性」を持っていると感じます。良いか悪いかは、ともかく。
 で、このキャプテンの日本語吹替をしていたのが、草刈正雄。草刈正雄は、声優としての方がクセが目立たず、かっこよくて好きかも。

 小気味よく、テンポ良い展開の合間に、ウォーリーとイヴの恋の進展や、人間とロボットの新しい関係性の構築のシーンが織り交ぜられて、物語は最終局に流れ込んでいきます。
 ラストの恋物語は、まあ、読めちゃうので。

 こんなに汚染された地球に還ってきた人間が、昔のような地球を取り戻すには、どんなことをしなきゃいけないんだろう。
 こんな地球にしないために、自分はいま、何ができるんだろう。
 そんなことに思いを馳せられたら、この映画のメッセージは伝わっているし、それを説教くさくなく伝える手法が、アメリカ映画のおもしろいところだとも思います。

ウォーリーウォーリー@映画生活


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