半径723mmの鑑賞録
 歴史好きな舞台女優による「古今東西、美しいもの」の鑑賞録です。 最新流行を追わなくても、「いいものは、いい」。 それを、きちんと形に残していければいいな。 ※ネタバレ注意※
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ハコノホテル奇譚 なおめその参
2010/03/07(日)
 劇団オグオブの公演から1月が経過し、次の舞台の出演も決まりました。
 この「ふりかえり」も総括しなきゃなー。
 予定では、本稿を含めて、あと2回。延々と引きずってお見苦しいですが、遠巻きに見守ってください。


 ★役づくりについて

 私見ですが、役づくりには2種類あるのではないかと考えます。
 演繹法的アプローチと、帰納法的アプローチ。
 前者は、キャラクターづくりを先行し、そのキャラクターならではの感情表現にたどり着くタイプ。
 後者は、自分の中にある感情を重視し、その積み重ねでキャラクターを構築するタイプ。

 どちらがいい、悪いではなく、役者によって好みのアプローチが分かれるように思えます。
 なお、前者は見た目の仕上がりが早く、個性的になりがちなので脇役向き。一方で後者は、完成までに時間がかかるけれども、共感されるキャラクターに仕上がるので主役向きです。
 私は本来、前者のタイプなのですが、今回は主役であり、後者のアプローチで役をつくることにしました。

 セリフ重視を第一命題にしましたので、脚本を読み込み、セリフの稽古ばかり。相手役のセリフの稽古もしてました。
 いつもなら立ち稽古中心ですが、今回はほとんどしなかったので、稽古期間中を通して、体力を温存できました。
 そのぶん、舞台ではいつもより動きのキレと、感情の切り替えが不十分だったのは反省点。
 セリフと動きを同時に、最も効果的に表現するには、一様の努力では足りませんね。
 
 結果として、なおめさんは、私本人に最も近い性格になりましたね。今までやった役の中でも、一番に。あんなに泣かないけど。
 だけど、もっともっと、か弱くて良かったんだと、一月経過した今ではとても反省しています。

 笑いもとれて、悲しさも伝える。

 それが私に課された今回のタスクだし、役者としてのセールスポイントでもあると思いますが、この両方を生の舞台で表現するには、どうしてもある種の「強さ」がにじみ出てしまう。それは私個人の人間性に備わっているものでしょうね。
 根性ある役を命じられることが多いのでいつもは違和感がないのですが、なおめのような根本が弱い役だと誤魔化しが効かない。
 両極端の感情を切り替えて表現するのは、生半かなことではありません。前述したように、体力も技術も努力も要求されますが、それが不十分だと、地の自分で戦ってしまう。
 「どの役をやっても同じに見えるね。」と言われかねません。(別にそれが悪い事だとも思いませんが、私の求める方向ではないので。)

 帰納法的アプローチで、両極端な感情表現をする難しさを知りました。さらに、主役として共感してもらいつつ、ですものね。
 そこをさらに、乗り越えなきゃね!
 体力・技術を向上し、帰納法・演繹法をうまくコントロールした役者さんを目指そうと思います。


 ★瀬山くんのこと …長くなったので、この先は「追記~続きを読む」にて♪ 
 妄想後日談のおまけつき。


   ふりかえりの本編は、これにて終幕。次はカーテンコール。
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 ★瀬山くんのこと

 今回の私のこだわり。
 「なおめと瀬山くんは、『幼なじみ以上、ギリ恋人未満』であること」。

 『ハコノホテル奇譚』の初演を、観客として観たのですが、そのとき最も腑に落ちなかったのが、「瀬山くんは、どうしてなおめを救うために自分を投げ出したのか」という動機でした。
 初演では、なおめが完全脇役だというのもあるのでしょうか。二人の関係性の描き方が希薄で、説得力に欠けるように、当時の私には思えたのでした。(初演のスタッフ・キャストのみなさま、ごめんなさい。)

 だから、脚本に描いてあるわけでもなく、演出に言われたわけでもないけど、二人の密な関係性を描く事にはかなり執着しました。
 序盤で「もー、おまいら、さっさとくっついちまえよ!」的な関係を描いていれば、終盤の哀しい事実の判明がより悲劇的ですからね。

 そこで、瀬山くん役の荻山さんには、すごくわがままを言いましたね。
「ここでは、なおめの行動にドギマギして」「ここでは、この動きに気がつかないで」とか、こと細かく。
 荻山さんはいやな顔せず、いつも協力してくれました。ありがとうございます。

 でも、荻山さん自身は「なおめの片思い」だと本番2日目の朝まで考えていたそうで。
 こちらのプランをきちんとお伝えしていなかったのがいけなかったなあ。と、深く反省した次第です。
 本番中ではありましたが、ラブ要素を追加してもらったところ、2日目のお客様から「二人の関係性と、最後の悲劇」について、より高い評価をいただきました。
 これも、演技達者な荻山さんの柔軟性の高さのおかげだと思います。

 今回、荻山さんと稽古が出来たのは、実質、最後の一月でした。
 濃密な一月でしたね。荻山さんとだからこそ、形になったと思います。

 荻山さんは、脚本を納得しないと表現に入らないというタイプの役者さんです。だから、脚本をすごく読み込むし、相手役や演出家と、脚本や役どころについて、じっくりと相談します。
 これは、正反対の役づくりをする私には、すごく勉強になりました。最後は影響を受けて、真似していましたよ。

 また、荻山さんの柔軟性には、本当に助かりました。こちらの演技に臨機応変に対応してくれるんですね。
 自分の演技にこだわりすぎて、相手役への反応がおろそかという役者さんも少なくないなか(自省含む)、荻山さんの反応の良さと、演技力の幅を見せてくれる応酬には、感服しました。
 すごく、やりやすかったですね。

 しかも、その次の稽古で元に戻ることはなく、上乗せして演技を深めてくれる。
 もっともっと、この人と演技していたいなあと思わせてくれる役者さんでした。
 あなたと組めて、とてもよかったと思います。ありがとうございました。

 
 ★おまけの妄想
 なおめと瀬山くん 救済コーナー「瀬山くんが幻じゃなかったら」。  

 なおめの色盲は治らなかったが、なんとか説得し、ふたりで東京に帰る。

 なおめはきっと金持ちの娘(だって、3年間もホテル住まいだし)でしょ。
 なおめの父親から「娘も25、(当時としては)いきおくれ。ああ困った困った。」とこれ見よがしな相談を持ちかけられ、瀬山くん、断りきれず嫁にもらうことに。
 士族の父親が残した負債は、肩代わりしてもらえたらしい。

 それだけに、家事もできないなおめを追い出すこともかなわず、日がな一日キャンバスに向かっている妻のかたわら、役所勤め・家事・育児全般を、しぶしぶこなす瀬山くん。
 ちなみに、子どもは5人。なんだかんだ、幸せな夫婦生活を営んでいるようですね。

 末っ子がなおめに宿った頃、瀬山くん、徴兵。撫順にて還らぬ人となる。
 少ない遺族年金と実家からの支援だけでは生活がなりたたず、なおめ、雑誌の挿絵を手がけるようになる。(昔、ちょっとご縁があった西島さん(後にカストリ雑誌の編集長)に仕事を斡旋してもらっていたらしい。)

 灰色の世界に生きるなおめの絵には、独特の濃淡があると評判になり、戦後、水墨画家に転向。
「つか、見たまんま描いてるんだけどね。」
 1次元の水墨画の世界に、「水平線」の概念を取り入れ、前衛的と評される。本当の青は見つけられなかったが、「本当の水平線」にはたどりつけたのかもしれない。

 東京湾を望む木場のアトリエで、永眠。享年82歳。
 遺言どおり、遺灰の一部は夫の遺品とともに、東京湾沖に撒かれた。


 ・・・だと、楽しいよねー。
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09:33 | 役者業| トラックバック:0 | コメント:1


コメント
妄想後日談。
瀬山くんは陸の上で死なせちゃいかんと思い直しました。
今度、バルチック艦隊の砲撃を被弾したと書き直します。
海に落ちて、あぶくになってもらわんとな。
    2010/03/07(日) 17:46:15 | URL | のんゆり #-[ 編集]

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