半径723mmの鑑賞録
 歴史好きな舞台女優による「古今東西、美しいもの」の鑑賞録です。 最新流行を追わなくても、「いいものは、いい」。 それを、きちんと形に残していければいいな。 ※ネタバレ注意※
Copyright © 2017 半径723mmの鑑賞録, All rights reserved.
Category..|最新の記事映画・DVD歴史マンガ博物館・美術館ニュース役者業未分類ひとこと
RSS + ADMIN + HELP

スポンサーサイト
--/--/--(--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--:-- | スポンサー広告| トラックバック(-) | コメント(-)

ザ・ウォーカー
2010/07/19(月)
 2010年アメリカ。出演:デンゼル・ワシントン、ゲイリー・オールドマン
 世界の滅亡から30年後。世界に1冊だけ残った謎の本を携え、西へ歩き続けるイーライは、“文明的な街”を訪れる。そこの首領カーネギーは、「世界を変える本」を探していた。イーライの持つ本を巡り、カーネギー一味とイーライの激しい攻防が始まる。



 舞台設定とその詳細な描写、人物設定は、『マトリックス』同様に非常にこだわりが見られます。
 そこだけでも及第点なのですが、定番の世紀末ものに留まりません。
 謎の本の真相が小出しにされるなどミステリー要素もあり、滅亡後の世界しか知らない美女とのロマンスもあり、どちらかというと知的派のデンゼル・ワシントンのアクションあり。
 それぞれの要素が十分にからみ、上質のエンターテインメントに仕上がっています。

 特に、西洋史好きの方には満足いただける作品。
 逆に言うと、西洋史や宗教学になじみがないと、この作品の奥深さに気づいてもらえないかもしれません。ちまたの(日本での)評価の低さも、その影響である気がします。

 謎の本は、いったい何なのか?
 この謎がわかると、この作品の面白さは深みを増します。
(以下、ネタバレです!!!
 ここから先は映画をご覧になる方はお読みにならないでくださいね。)

 世界で一番多く出版された本が、1冊しか残らない。
 更なる設定として、「宗教の力で人心を掌握すれば、世界の王になれる。」ここが良いですね。千年以上の歴史にわたって起こった多くの戦争の動機であり、いまでも紛争が絶えない原因です。
 先進文明に浸っている国に住む者にとっては、対岸の火事のように思えます。しかし、大戦争がひとたび起これば、ぬるま湯生活を満喫している自分にも降りかかってくる命題かもしれない。宗教戦争に巻き込まれていく疑似体験をするかのような心境になりました。

 また、イーライは、100年経てばきっと「聖者」と呼ばれるようになる存在なのでしょう。
 宗教をテーマにした映画であれば、あらかじめ「聖○○」と呼ばれる登場人物が出てきます。そして、聖典に描かれた内容の人生を送ることを、観客は期待します。
 しかし、この作品では、逆のアプローチ。
 観客は、意固地に本を守ろうとする生身の登場人物に共感し、時に聖なる力に守られていることに奇異を覚えながらも、彼を見つめることになります。そして、ロードムービーを見ているつもりだったのに、いつしか彼の巡礼を見守っていたのだと気づくことになります。
 ただのスーパーの店員だった青年が、啓示を受け、巡礼者を志したのであろう。映画には描かれていない部分さえも想像しながら、聖者が出現するのを目の当たりにできるのです。
 私は宗教には詳しくないけれど、これが現実なら、奇跡と呼んで喜ぶのかもしれません。

 最後の大どんでん返しで(いくぶんご都合主義ですが)、イーライは本を目的地に運び、カーネギーは本の入手に失敗します。
 物語としては悪に正義が勝ったことになりますが、何が正義で何が悪なのかは、本当はわからない。
 カーネギーが本を手に入れれば、少しでも早く、世界に秩序をもたらすことができたかもしれない。実際に、世界の歴史は、暴虐なれど英明な君主の出現によって、少しずつ前進してきたのですから。
 かつて人類がいくつも通り過ぎたであろう歴史の分岐点を、またここでひとつ通り過ぎたのであり、それが運んでくる未来は、良いのか悪いのかわからない。
 それを示唆して終わるのも、この映画の魅力だと思います。


デンゼル・ワシントンのアクションは本物でしょうか?
   ↓↓↓
 1日1回クリック。人気ブログランキングへ




ザ・ウォーカー@ぴあ映画生活


(ラストシーン。ネタバレ注意!!)

 奪った聖書は、点字で書かれていた。イーライは盲目だったのだ。カーネギーを恨んでいた盲目の妻に解読を拒まれ、カーネギーは失脚した。
 瀕死でアルカトラズにたどり着いたイーライは、聖書を口述筆記させ、それは欽定新約聖書として出版された。イーライの遺品のiPodを装着し、スースラは帰郷の途につく。


スポンサーサイト
03:14 | 映画・DVD| トラックバック:1 | コメント:0


コメント

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する


トラックバック
トラックバックURLはこちら
http://ogobno9.blog84.fc2.com/tb.php/249-05a5b3cb
ザ・ウォーカー
<<ストーリー>> 世界で一冊だけ残る本を運び、30年間旅をしている男イーライ(デンゼル・ワシントン)。本に触れる者をためらわずに誰...
    2010/07/19(月) 14:36:01 | ゴリラも寄り道
[ PROFILE ]

NAME : のんゆり
劇団オグオブの女優です。
劇団オグオブHP>>>
http://www.ogob.jp/

[ CALENDER ]
08 « 2017/09 » 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

[ ENTRIES ]
劇団オグオブ第18回公演 「鬼狩愚連隊、参上!」
オレンジジュースに罪はない
パクチーズ
ふりむけばカムロちゃん
政見放送

[ ARCHIVES ]
2016年10月[1]
2014年10月[1]
2014年07月[1]
2014年03月[1]
2013年11月[3]
2013年01月[1]
2012年10月[1]
2012年04月[1]
2012年03月[2]
2011年08月[1]
2011年06月[1]
2011年01月[1]
2010年12月[2]
2010年11月[1]
2010年10月[1]
2010年09月[3]
2010年08月[1]
2010年07月[4]
2010年06月[6]
2010年05月[2]
2010年04月[2]
2010年03月[9]
2010年02月[2]
2010年01月[5]
2009年12月[5]
2009年11月[1]
2009年10月[4]
2009年09月[3]
2009年08月[1]
2009年07月[3]
2009年06月[5]
2009年05月[2]
2009年04月[4]
2009年03月[2]
2009年02月[5]
2009年01月[2]
2008年12月[2]
2008年11月[3]
2008年10月[4]
2008年09月[1]
2008年08月[8]
2008年07月[4]
2008年06月[4]
2008年05月[3]
2008年04月[7]
2008年03月[12]
2008年02月[10]
2008年01月[14]
2007年12月[11]
2007年11月[14]
2007年10月[20]
2007年09月[12]
2007年08月[4]
2007年07月[8]
2007年06月[7]
2007年05月[8]
2007年04月[10]
2007年03月[8]
2007年02月[4]

[ COMMENTS ]
ゆうみん[04.16]
TMO幸手(なが)[04.07]
Maki[04.03]
通りすがり[08.17]
ざちう[06.09]
のんゆり[08.22]
Normal13[08.06]

[ TRACKBACKS ]
まとめteみた.【沖縄国際映画祭】[03.29]
映画レビュー「トイ・ストーリー3」[09.08]
ザ・ウォーカー[07.19]
『インビクタス/負けざる者たち』お薦め映画[04.01]
月曜ですねー><[05.18]

[ LINKS ]
劇団オグオブ
劇団オグオブ稽古場日記
夢をかなえるブログ
さびぬき王子の三の丸
明日は明日の風が吹く
オグオブ裏ブログ
舞台女優のアートな備忘録
mixi
まあ待て、ブログを借りる前にここを読め。

Powered By FC2
Designed By ASIA SEASON

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。